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放射線治療

放射線治療について

 放射線治療は手術や薬物療法とあわせてがんの3大治療法のひとつとされています。手術と同様に局所への治療になります。放射線を使って照射した部位の腫瘍に対して効果を発揮します。多くのがんにおいて、がんの根治を目指す治療として用いられています。

また、痛みなどの症状を緩和するための治療にも用いられます。膵がんでも様々な状況で用いられています。がんの根治を目指す場合には放射線と薬物療法を併用して治療を行うことが多いです。症状を緩和する治療は、原発巣や転移病巣による痛みなどの症状をやわらげるために用いられます。

 放射線治療は直線加速器(リニアアック)を用いたX線での治療が広く普及しています。多くの場合、1日1回、平日毎日、合計で25回から30回程度にわけて照射を行っていきます。1回の治療時間は15-20分程度になります。仰向けで照射することが多く、体の中の病変に照射するために照射中は動かないようにする必要があります。1回1.8-2Gy(グレイ:放射線の単位)で総線量50Gy前後の放射線を病巣部に照射していきます。

治療装置の発達により、よりピンポイントに体の中の病巣に放射線を集中させることも技術的に可能になっています。それらの技術革新を活かして高線量を腫瘍に照射するような治療も行われています。多くの場合、1回線量を増やして、総回数を減らすような形で治療していることが多いです。

 また、症状緩和の放射線治療では、そのときの患者さんの状況に応じて1回から10回程度の放射線治療が行われています。

 X線以外にも、粒子線(重粒子線、陽子線)を用いた治療も切除が困難な場合には保険適用となっていますが、粒子線治療は施行施設がX線の治療装置を有する施設よりは多くはありません。多くの場合、粒子線治療装置をもっている施設で最初から最後まで治療をされる方は少ないと思います。膵がんは集学的な治療が大切なため、スムーズな連携が重要になります。

 放射線治療は膵がんでは様々な状況で用いられています。手術前の術前治療や根治を目的とした化学放射線療法(薬物療法と併用した放射線治療)、術後、再発、痛みなどの症状緩和などに選択肢となることが多いです。それぞれの病院においてカンファレンスなどで患者さんの状態毎に適切な治療法が選択され、放射線治療もその際のひとつの選択肢となっています。放射線治療の情報については日本放射線腫瘍学会がホームページ上で一般の方向けに情報提供もしていますので参考になると思います。

 

Q1放射線治療にはどんな副作用がありますか?

放射線治療を受けると、倦怠感や嘔気、食欲低下などが起こる可能性があります。吐き気止めなどもありますので担当医に相談してみて下さい。また、膵臓のまわりには胃や腸などの消化管があり、ある程度の放射線があたることが多いです。そのため、消化管潰瘍や出血などが起こることもあります。

Q2放射線治療はどこで受けることができますか?

放射線治療装置がある施設で受けることができます。通院されている病院にあるかどうかや近隣の病院の情報は担当医や医療連携室、相談員さんといったかたが情報をお持ちのことが多いのでお尋ねしてみて下さい。また、放射線治療装置があるかどうかは日本放射線腫瘍学会のホームページの認定施設リストなども参考になります。

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