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急性膵炎
急性膵炎とは
急性膵炎とは、膵臓で作られる消化酵素が膵臓の中で活性化し、膵臓そのものや周りの臓器や内臓の脂肪を溶かす病気です。原因としては、飲酒(アルコール性)や胆石症(胆石性)、高脂血症などがありますが、特定できないもの(特発性)があります。男性ではアルコール性、女性では胆石性が多いとされています。
急性膵炎は、@上腹部(みぞおちからおへその間)が急に痛くなる、A血液や採尿検査で膵臓が作る消化酵素の値が上昇している、B超音波・CT・MRIなどの画像検査で膵に急性膵炎の変化を認める、のうち、2つ以上が当てはまれば診断されます。
また、急性膵炎は重症度(病気の深刻さ)により軽症と重症とに分類されます。造影剤を用いたCT検査における膵臓を中心とした炎症の広がりと、年齢・血圧・呼吸の状態・採血結果などを組み合わせて判定します。
図1 軽症急性膵炎の造影CT所見
膵臓の腫大、2/3の領域(体尾部)の造影不良(▲)、滲出液の貯留(*)、を認める
図2 重症急性膵炎の造影CT所見
膵臓の腫大、2/3以上の領域の造影不良(▲)、写真に写っていないが腎臓の下端よりも足側まで炎症が波及し滲出液の貯留(*)を認める
急性膵炎では稀に亡くなることがあります。医療の進歩により亡くなる割合は改善していますが、重症の急性膵炎ではいまだに約6%の方が亡くなるとされています。そのため、急性膵炎と診断された場合は、診断後24時以内と、24時間〜48時間以内に重症度を判定し、もし重症と判定されたら、集中的に診療できる病院へ速やかに移すことが勧められています。
急性膵炎の治療
治療に関しては、軽症・重症に関わらず、基本的には入院の上、絶食と点滴治療が必要になります。食事を摂ると膵臓に負担がかかるため、当初は断食しなければなりません。加えて活性化した消化酵素をできるだけ落ち着かせるための薬(蛋白分解酵素阻害薬)を点滴する場合があります。
また、重症例では、内臓が溶けることで、膵臓以外の臓器の機能が損なわれることがあります。肺の機能が損なわれれば人工呼吸器での治療が必要となり、腎臓の機能が損なわれれば一時的に血液の浄化治療(透析)が必要となることもあります。全身への治療が必要になった場合には集中治療室へ入院することもあります。
これらの治療と併行して、膵炎の原因を特定します。胆石性が原因で胆道系の炎症や通過障害を起こしている場合には、早めに内視鏡を使った治療(内視鏡的逆行性胆道膵管造影:ERCP)を行います。
軽症の場合はほぼ全例が完治しますが、重症の場合には膵炎自体が改善しても、合併症(後遺症)が残ることがあります。合併症の中で、炎症を起こした膵臓から滲み出した水分や、膵臓や内臓脂肪が溶けた溶解液など、膵炎によって出来た水たまりに細菌が感染した状態は感染性膵壊死と呼ばれ、壊死した物質を身体の外へ取り除く治療を行う場合があります。内視鏡を使ったり、身体の表面からチューブを体内へ挿入したり、外科手術をするなど、いくつかの方法があります。
図3 感染性膵壊死
膵臓(★)周囲に壊死物質の貯留(*)を認める
急性膵炎が改善した後も、他にも合併症が起きないかどうかの確認のため、ある程度の期間は経過観察が必要です。またごく稀に初期の膵がん原因で急性膵炎が起きることがあるため、膵炎が軽快した後も画像検査などを定期的に行うことがあります。
Q1急性膵炎はどれくらいで治りますか?
Q2急性膵炎の後は飲酒できますか?