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膵外分泌機能検査
膵外分泌機能検査について
膵臓には内分泌機能と外分泌機能の2つの働きがあります。膵外分泌機能とは消化液である膵液を作る機能のことです。膵液には膵腺房(せんぼう)細胞から作られる消化酵素と、導管(どうかん)細胞から作られる重炭酸イオンが含まれています。
膵で作られる消化酵素には炭水化物を分解するアミラーゼ、蛋白質を分解するトリプシン・キモトリプシン・エラスターゼ、脂肪を分解するリパーゼなどがあり、食べたものを消化し吸収できるようにする役割を担っています。また、重炭酸イオンはアルカリ性のため、胃酸を中和し腸の中を消化酵素が働きやすい環境に保つ役割を担っています。
慢性膵炎・膵癌・膵臓の外科手術後などでは、膵外分泌機能が悪くなり消化不良を起こし下痢をしたり体重が減ったりします。膵外分泌機能検査は、慢性膵炎の診断や病期の推測、あるいは慢性膵炎や他の膵疾患による消化吸収障害(膵外分泌機能不全)に対して適切な治療法を決定するために用いられます。
以前は、セクレチン試験と呼ばれる膵液産生量・重炭酸イオン濃度・消化酵素産生量を直接測定する検査がありましたが、試験に用いる薬剤が販売中止となり検査が出来なくなりました。
現在、国内において保険診療の範囲内で行える膵外分泌機能検査はBT-PABA試験(Pancreatic Function diagnosis test: PFD試験)のみです。しかしながら、BT-PABA試験は消化酵素によって生じる物質が小腸・肝臓を経由して尿に排泄されるものを測定する検査で、尿を溜める負担や、貯め方が不十分だと正確な測定が出来ず、腎臓の機能や他の薬の影響を受けやすいという問題点があります。また、現在PFD試験に用いる試薬が製造中止となっており、事実上検査を行うことが難しくなっています。
この他に、便中エラスターゼ1測定や、13Cジペプチド呼気試験・13C混合トリグリセリド呼気試験などもありますが、いずれも国内では保険診療で行うことができません。
Q1膵外分泌機能が低下していると言われました。治療法にはどのようなものがありますか?
膵外分泌機能低下(消化吸収障害)の程度や栄養状態により、消化酵素の補充を行います。補充しても効果が不十分な場合には、胃酸により消化酵素の効果が弱くなることを防ぐために胃酸分泌抑制薬を一緒に内服したり、脂溶性ビタミンを一緒に補充するなどを行います。
Q2膵外分泌機能検査以外に、膵臓の機能を調べる方法はありますか?
消化吸収が悪くなることで、下痢や脂肪便(便が白っぽく脂っぽくなる)、体重減少、採血での低栄養所見(血中の蛋白、アルブミン、コレステロール、中性脂肪、亜鉛などのミネラルの低下や、貧血など)、血中や尿中の膵酵素の低下などが起きていれば、膵外分泌機能不全が起きている可能性が考えられます。
また超音波内視鏡検査やCTなどで膵の硬さの測定やボリュームを調べる方法が、膵外分泌泌機能の推測に有用な場合があります。