理事長挨拶
理事長就任のご挨拶
正宗 淳
このたび、竹山宜典先生の後任として第11代日本膵臓学会理事長を拝命いたしました東北大学消化器内科の正宗淳(まさむねあつし)でございます。大変光栄に思うととともに、その重責に改めて身の引き締まる思いでございます。
私は1990年に東北大学医学部を卒業し、初期研修ののち、東北大学第三内科(当時)の膵臓グループに入局をいたしました。第8代の理事長を務められた下瀬川徹先生のご指導のもと、膵線維化の分子機序や膵炎の遺伝子解析などの基礎研究から、膵炎の全国調査をはじめとする臨床研究まで、幅広く携わらせていただきました。研究成果を日本膵臓学会大会で発表することを大きな目標としてまいりました。2012年から2016年に事務局幹事、2017年からは監事、2021年からは理事を務めさせていただきました。その間に、2013年の第44回日本膵臓学会大会事務局、2016年の日本膵臓学会・国際膵臓学会・アジアオセアニア膵臓学会合同大会の事務局に関わらせていただきました。改めて自身のキャリアを振り返ると、日本膵臓学会を通して沢山の有難いご縁を頂き、日本膵臓学会に育てていただいたとの思いを強く感じております。
膵癌や膵炎に代表される膵疾患は今後も増加が予想され、その克服への道のりは、まだ道半ばでございます。医師の働き方改革の中、とかく時間や手間のかかりがちな質の高い膵疾患診療をいかにして維持、発展させていくかは難しい問題です。さまざまな多様性への対応、一般社団法人として社会への貢献、国内外の各学会とのさらなる連携も求められています。さらに近年、日本の国際競争力の低下、特に科学競争力の低下が顕著となっています。このような状況下で、日本膵臓学会をさらに発展させていくことは決して容易ではありません。
理事長就任にあたり、日本膵臓学会の“進化”と“深化”を目指してまいりたいと考えております。様々な時代の変化に適応していくために学会自体が進化していくことはもちろん、本学会の目的にあります“膵臓学に関する研究の進歩および普及をはかること”をさらに深めてまいりたいのです。それらのためには若い先生方に参加していただき、日本膵臓学会の “すそ野”を広げることが不可欠と考えております。若い先生方に膵臓病学の魅力を伝え、日本膵臓学会の仲間に入っていただく、頑張っておられる先生方を積極的に登用し、そして世界に向けて様々なことを一緒に発信をしていく、そのような取り組みが日本膵臓学会の進化と深化につながると考えております。
竹山宜典先生をはじめ諸先輩方が築いてこられた、日本膵臓学会の歴史と良き伝統をしっかり受け継ぎながら、学会のさらなる発展のために、全力で頑張ってまいります。先生方におかれましては、ご指導、ご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。